彼の部屋の荷物整理が終わったと、
親御さんから連絡を受けたのは土曜のこと。
一人暮らしでも一年以上生活していただけはあって、
思ったよりも多くの荷物になっていたらしい。
几帳面にダンボールに分類された生活用品。
そして、事情を知る人にしか分からない遺品。
他の人から見れば、ただのガラクタの集まり。
でも、そのひとつひとつが、あたしにはトクベツ。
全てが、彼が其処に在った記憶を吸っているものだから。
出前寿司の伝票。
日付は、あたしが彼に会いに行った初日だ。
お寿司なんて贅沢だとエンリョするあたしをなだめて、
彼が強行突破の勢いで頼んでくれたっけ。
「無理したんだろうなぁ」と、親御さんが苦笑いする。
あたしもそう思いマス。でも、うれしかったよ。
横目で彼の遺影を見て笑う。
ジャスミン茶のペットボトル。
旅行中にあたしが買って飲んでいたら、
彼もつられて飲み始めるようになったもの。
ジャスミンは好き嫌いがあるから勧めなかったのに、
あたし達は嗜好もそれなりに合ってたらしい。
さるぼぼちゃん×2。
ひとつは、あたしが彼の部屋に置き去りにした紺色の人形。
こっそり置いて帰るつもりだったのに、気づかれちゃった。
もうひとつは、あたしが持っていた黄色の人形。
告別式でも、数珠の代わりにずっと握り締めていた。
いま、ようやくふたつ揃って、赤い糸で結ばれている。
香水。
彼が好んで纏った香りは、ヨウジ・オム。
彼とあたしが気に入った香りは、ドライクリーン。
どれを取っても、彼が封じられている気がする。
そして、お洋服。
コムデギャルソンの20年来の定番の白シャツ。
細い彼の身体にはぶかぶかなんだけど。
背中のドレープをたなびかせる姿は、とても素敵だったね。
あたしの『少年』そのものだった。
他にも彼の生きがいだった宝物が、たくさん、たくさん。
所狭しとクローゼットを占拠している。
親御さんは、あまり知らない。
お洋服に込められた、彼なりの哲学や美学。
薀蓄を並べるのは彼の仕事だったはずなのに。
代わりに、あたしが彼の言っていたことを繰り返してみる。
物覚えの悪いあたしなのに、
彼の言ったことだけはよく覚えていることに感心。
あたしが男だったら持って帰りたいけど、
サイズが合わないので、お洋服は断念することに。
「好きなものを持っていっていい」というお言葉に甘えて、
最期に彼が身につけていたイッセイのベルトと、
香水をいただいていくことにした。
つらくなるから、
本当は形見は無い方がいいのかもしれない。
でも、今はまだ、彼を近くに感じたい。
2004年08月24日
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る・さんの辛さの1%もわかんないんだろうけど、
一読者としてこれからのる・さんを応援しています。
痛い文しか書けずにごめんなさい。。。
応援ありがとうございます☆
jkさんのやさしいココロが傷つかない程度に、
今を伝えられるようになりたいですねぇ。
私が、もしやと予想していた人と重なってしまいました。
どうしよう、何故かしら涙がとまりません。
更新されないブログ。
コメントの返事がかえってこないブログ。
でもどこか、信じられず通っていたブログ。
どうしよう、私達、生きてるんですね。
深く知らなかったけれど、目を背けてた事実を受け止めてしまったようです。
る・ちゃん、本当に辛かったでしょう。
私達、生きていきましょうね。
言葉がみつからず、ゴメンね。
私の記事ではあえてHNは使わずに、
彼であり、君であり、貴方であり、“A氏”でした。
彼は、きみえさんの詩が大好きでしたヨ☆
きみえさんの詩を知ってから、
彼は心の内を表現することを覚えたんです。
ようやく、素直になって。。。
そうですね、生きてるんですね、私。
本当にありがとうございます。
強く、生きていきます。
今更なのですが、
私の記事から彼のブログへトラバしたり、
ちょこっとリンクを張ってみることにしました。
二度と更新されることは無いけれど、
彼の文章を読んでくれる人が少しでもいるなら、
思想だけはずっと生き続けるのかなぁと。
それが彼に対して、
あたしにできる最後のことかと思います。